ZMI(紫米)の65W充電器「HA932」をレビューします。コスパ最強です。
まとめ
- 65W対応充電器で2600円と超破格!
- 100W対応のType-C to Cケーブルが付属!
- Type-CポートでPDのみの急速充電に対応!
- eMarker非搭載ケーブル接続時の挙動がおかしい…
この価格帯ではこれを超える製品はおそらく当分出ないと思います。
概要
ZMI(紫米)はXiaomi(小米)が出資したエコシステム企業の一つで、主にXiaomi製品向けの充電器やモバイルバッテリーを販売しています。国内ではTJCが代理店契約を結んでいますが、(時代遅れな規格でない製品という意味での)まともな新製品はなかなか出てきません。
「HA932(USB 充电器65W 桌面快充版(3口)/ZMI zPower Trio Desktop Charger)」は2019年10月から中国で発売されている卓上の充電器です。製造しているのは2016年5月に設立された南京酷科电子科技で、クラウドファンディングで大きな成功を収めた製品です。大きな特徴は、65W充電に対応していて、100W対応のC to Cケーブルがついて2500円程度というありえない価格設定です。
100W対応のケーブルだけで日本では安くても800円くらいはするので、充電器本体は実質1700円程度です。それでいて65W充電に対応、しかもType-Cポートでの急速充電規格はPD充電のみ対応という規格に準拠した仕様です。
外観・スペック表
HA932 | |
---|---|
产品名称(中文) | USB 充电器65W 桌面快充版(3口) |
Product Name(English) | zPower Trio Desktop Charger |
入力 | 100-240V(50/60Hz)=1.6A |
Type-C1 出力 | 5V=3A、9V=3A、12V=3A、15V=3A、20V=3.25A |
Type-C2 出力 | 5V=3A、9V=2A、12V=1.5A |
Type-C1 出力 (同時使用:Type-C2) |
5V=3A、9V=3A、12V=3A、15V=3A、20V=2.25A |
Type-C2 出力 (同時使用:Type-C1) |
5V=3A、9V=2A、12V=1.5A |
Type-C2 出力 (全ポート同時使用) |
5V=3A |
Std-A 出力 | 5V=3A、9V=2A、12V=1.5A |
PWMコントローラ | 通嘉科技 LD5763GS |
サイズ | 95 x 66.5 x 23 mm |
質量 | 156g |
同梱品 | ・eMarker搭載100W対応Type-C to Cケーブル(1.5m) ・電源コード(ICE-60320-C7、1.5m) ・ユーザーガイド(English・簡体中文) |
いつもどおり箱は若干潰れています。
付属品は電源ケーブルとUSB C to Cケーブル、ユーザーガイドです。
ユーザーガイドは英語と簡体中文に対応しています。
付属のC to CケーブルはZMIのロゴ入りで、汚れないようにフィルムで保護されています。ケーブル長は1.5mで、ゴムで留まっています。eMarkerが搭載されていて、USB 2.0対応で5Aまで流せる仕様です。このケーブルだけで日本だと800円くらいします。
電源ケーブルは極性のないICE-60320-C7コネクタを採用していて規格上は最大2.5Aまで流せるため日本の100Vコンセントでも十分に電力供給が可能です。また、中国仕様なのでプラグ穴は空いていません(なぜか公式動画では穴が空いている)。ケーブル両端には「Mi」のロゴが浮き彫りになっています。
前面にはXiaomi製品でよくあるテープで保護された充電ポートがあります。最大65WのType-C1ポート、最大18WのType-C2ポート、最大18WのStd-Aポートの計3ポート仕様です。
背面には電源ケーブルを挿すポートがあります。CCC認証のみ取っているようで、FCマークもCEマークもありません。右側には充電の仕様が細かく書かれています。
天面には何もなく、底面には滑り止めがついています。
USB PD充電のみに対応
Type-C1ポート、C2ポートはどちらもUSB PD以外の急速充電規格に対応していません。国内の大手メーカーの充電器でもType-CポートでQCなどのPD以外の急速充電プロトコルに対応してしまい規格違反となっている現状において、中華製の充電器としては珍しく規格に準拠しています。
Type-C1ポートのみ使用時のPDOは「5V=3A、9V=3A、12V=3A、15V=3A、20V=3.25A」で最大65Wとなっています。eMarker非搭載のケーブルを接続した時のPDOは「5V=3A、9V=3A、12V=3A、15V=3A、20V=3A」と、最大60Wを超えないように正しく設計されています。
Type-C2ポートのみ使用時のPDOは「5V=3A、9V=2A、12V=1.5A」で最大18Wとなっています。
Std-AポートはApple 2.4、USB-DCP、QC2.0(9V、12V)、QC3.0(~12V)の急速充電プロトコルに対応していて、最大18Wとなっています。
Type-C1ポートとC2ポートの両方を使用しているときのPDOはそれぞれ「5V=3A、9V=3A、15V=3A、20V=2.25A」の最大45W、「5V=3A、9V=2A、12V=1.5A」の最大18Wです。
すべてのポートを使用しているときのType-C2ポートのPDOは「5V=3A」です。
「HA932」のType-CポートはどちらもCold Socketで規格に沿っています(Vbus Hotでない)。 また、Type-CポートのそれぞれのConfiguration Channelは規格通り別々のRpでプルアップされています(Type-C1…CC1:4.03V・CC2:0.28V、Type-C2…CC1:3.81V・CC2:0.26V)。
PWMコントローラにはLD5763GSが採用され、過電力保護、過電圧保護など多くの安全保護機能を備えています。
充電してみた
「ThinkPad E595」にType-C1ポートで充電したところです。電流が安定するまでに時間がかかっています。最大出力でないのはノートパソコン側の問題なので気にしないでください。
Type-C2ポートで他の端末を充電中に「ThinkPad E595」にType-C1ポートで充電したところです。このときType-C1ポートは45W充電となります。65W充電時とは違って、電流はすぐに安定しました。
充電時の本体の発熱は少し温かくなる程度で、触れられないほど熱くなることはありません。
注意点
Type-C1ポートで充電中に他のポートで充電を開始したり切断したりすると、Type-C1ポートで再度ネゴシエーションが行われるので充電が一時中断されます。Type-C2ポートやStd-Aポートでの充電も同様なので、「HA932」でRaspberry Piなどを直で動作させている場合は毎回シャットダウンされます。このような仕様は、MakuakeでPSE取得版を販売したBaseus「BS-S915」などと同様です。
また、eMarkerを搭載していないType-Cケーブルを接続するとデータラインの電圧がすごいことになります。ロジックアナライザを持っていないので詳しくは調べていません。付属ケーブルのようなeMarker搭載のケーブルを接続すれば問題ありません。
急速充電選択の舞 pic.twitter.com/SNoRhyr2Ey
— ℳi (@tkg5th) 2020年1月20日
価格
ZMIUSAとAmazon.comではどちらも定価から10ドル引きされた29.99ドルで販売されています。
小米有品では139元、天猫では189元、AliExpressなどでは約2600円~で購入できます。